メディアリテラシーってなに?
- 原元美紀
- 2017年5月29日
- 読了時間: 4分
「原元美紀の女子アナワークショップ」、5月は「メディアリテラシー&インタビュー術第2弾」の開催でした。
今回も静岡や福島、新潟と遠くから地方局アナウンサーもたくさん参加してくれました。
このワークショップも創立1周年を迎え、最近は、初参加の方が増えたり、勤務先で「研修」として認められたと局の経費で参加する人もいて、嬉しい限りです。
「いま現場で求められるアナウンサー」として必要な学びの場となれるよう頑張ります。
さて、今回も私たちにとって、とても大事なテーマを取り上げました。
それは、「メディアリテラシー」です。
LNE、facebook、twitter、ブログ…、ネットの世界では誰もが簡単に情報を発信できます。
しかし、ほんの軽い気持ちや知識から、裏付けのないウソの情報を流して「加害者」になったり、デタラメ情報を流されたりプライバシーを侵されて「被害者」になる危険性がどんどん高まっています。
ところが、そのルールは未だ確立されていません。
それどころか、「フェイクニュース」なんて言葉も当たり前の様に使われ始めました。
今こそ「正しい情報の取り扱い方法」について、学ぶべき時と思いますが、その機会は滅多にありません。
それは、メディアリテラシーを教えられる人が極めて少ないからだと私は感じます。
そこで、講師にお招きしたのは、元TBSアナウンサーの下村健一さんです。
下村さんは、TBSアナウンサー・キャスターとして25年間放送現場の最前線に立ち、情報を伝えてこられました。
2010年には、内閣審議官に就任(民間登用)し、今度は内閣広報室から国民やマスコミに向けて情報発信を担当します。
情報を発信する側と報道する側の両方を経験されたということですね。
その貴重な経験を経て、現在は小学校から大学まで、学校教育の場で「メディアリテラシー」を教える活動をしていらっしいます。
小学校の国語の教科書(光村図書)にもメディアリテラシーに関するエッセイが掲載されています。
今回は女子アナワークショップを中学校の教室に見立て、90分間の授業を行っていただきました。
難しいテーマのはずでしたが、爆笑したり、震え上がったり、大変盛り上がりました。
まず、中学生向けということで、言葉がわかりやすい!
そして、下村さんご自身が嘘の情報を流され、なんと報道被害に遭われたという経験を元にお話しいただき、
「身近に起きることなんだ!」ということが実感できました。
「4つのギモン(疑問)とジモン(自問)」を考えながら、情報の仕入れ方、整理の仕方、受け止め方、バランスの取り方、そして情報発信時の注意点を学びました。
途中「想像力のスイッチ」というキーワードが何度も繰り返されます。
「情報への想像力」
「他者への想像力」
「未来への想像力」
このどれもが欠けてもいけません。
これは下村さんが子供達に教える授業のタイトルでもあり、みんながハッピーになるためのおまじないの言葉でもあります。
「リディアリテラシーって、規制ばかりで自由が減るのかと思っていたけど、
想像力のスイッチを入れれば、逆に増えるんですね!楽しくなってきました」
と、みんな安心したようです。
みんな迷いが吹っ切れ、晴れやかな顔をしていました。
下村さんのこのメディアリテラシー」の授業は本になっていますよ!
・「10代からの情報キャッチボール入門」(岩波書店)
・「想像力のスイッチを入れよう」(講談社)
とても楽しく学べます。子供だけではなく、大人の方にもオススメです。
*
そして、後半は「下村流インタビュー術第2弾」をお願いしました。
実は、昨年「インタビュー術」の講義をしていただいたところ、目からウロコの技の数々を伝授していただき、「うわ〜、もっと早く知りたかった!」と大反響。
ぜひその続きを!というリクエストが多かったのです。
今回も生徒には事前アンケートで「インタビューのお悩み」を教えてもらいました。
・相手を緊張させずに聞きたいことを引き出すテクニックは?
・話が止まらない人への対処は?
・下調べしたけどどこまで「知らないフリ」すべき?
・事前に打ち合わせた答えを本番で言ってくれない時は?
・予定調和になり過ぎてつまらない・・・
など、「インタビューあるある」ですね(笑)
アナウンサーであれば誰もが一度は抱えるお悩みに、下村さんがズバッ!ズバッ!と切り込んで行きます。
「そうだったのか!」とあちこちで感嘆の声が漏れ聞こえてきます。
生徒からはこんな感想が寄せられました。
「明日から早速この技を使ってみます!」
「苦手意識がなくなりました」
「自分はこれまで〇〇だったからダメだったのですね」
下村さんはある時、インタビューをした相手の方に「おかげで風邪が治りました」という最高の褒め言葉をもらったことがあるそうです。
インタビューされたことで、頭も気持ちも体調までスッキリさせることができるなんて、究極です。
相手のことをよほど考え抜いていなければできません。
インタビューは「人対人」。
技だけではなく、優しさと考えの深さが実を結ぶのだということを感じてもらえたらと思います。
下村さんにはインタビューの醍醐味も教えていただきました。
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