「災害報道~命を守る放送とは」
「原元美紀の女子アナのワークショップ」、9月は「災害報道」を学びました。
近年、地震や津波、大雨など自然災害の規模が大きくなり、報道の現場で情報を伝えるアナウンサーにも正確な知識、的確な判断力がますます強く求められています。
今回も参加者は幅広いメンバーが集まりました。東日本大震災の被災県や、毎年の台風や大雨大雪報道などを経験する者から、「災害に襲われるかもしれないいつか」に備えたいという未経験者まで。
そこで、災害報道の経験が豊富なキー局社会部記者の方を講師にお招きし、「災害報道~命を守る放送とは」というテーマでアナウンサーが知っておく知識、伝え手が最も大切にすべきことなど、現場での取材方法、心構えなどを語っていただきました。
①災害とは ②なぜマイクを向けるのか ③災害取材で心掛けること ④あるべき災害報道とは
情報の集め方や、どんな情報が必要とされるのか(発災時、その後)、報道の使命、取材される側の人権といった講義から、現場リポートの組み立て方など、実際に放送で伝えるときのコツなど、実例をもとに教わるチャンスはなかなかありません。みんな真剣な表情でノートを取ります。
そして、今回は講師の方の提案で、座談会形式にして、災害報道における悩みなども相談しあいました。
実は、私たちアナウンサーにとっても、「一番苦しい思いをしているのは当事者の方だ」という思いが強くあり過ぎて、自分なんかが不安に思ったり悩んだり、落ち込んだりするのは良くないこととして胸に思いをため込んでしまう傾向があるのです。
もっと被災者の方に役に立つ情報はないだろうか? もっと心を寄り添える方法はないだろうか? 自分のやっていることは誰かを傷つけていないだろうか?
こんな思いをなかなか口に出せずにいるのです。
どうやって声をかければよいのだろうかなど実体験に基づいた具体的なアドバイスを頂いているうちに、それまで「自分に一体何が出来るだろうか?」と迷ってた彼女たちに笑顔が見られるようになりました。
私は現在の現場リポーターになってこの10年間、ヘルメットを被って災害現場に駆けつけることを何度も経験しました。ついこの間も台風取材で沖縄に行ったばかりです。
今でこそ知識も度胸も身に付けてきたものの、初めての現場を踏んだ局アナ3年目の時は無我夢中でした。
飛行機墜落事故の現場で、目の前で燃える機体や集まって来た搭乗者のご家族に、言葉が見つからなかった。
その時の悔しさや申し訳なさは、今も自分の原点として思い出します。
必要としている人に必要な情報を伝えられるようになりたい。 ちゃんと心を寄り添えるように…
という気持ちを忘れてはならないと自問自答の日々です。
若手の女子アナの皆さんも、おおいに悩んで葛藤してください。 その気持ちこそが相手に伝わると私は信じます。 きっと進むべき道が見つかると思います。